妊娠
先日ニュースでも話題になった、男の子として世界一の低体重児が無事退院したという素晴らしい出来事がありました。近年、低体重児の出産が増えているのはなぜか。また日本と海外ではどのような事例があるのか、お話していきたいと思います。
増え続ける低体重の出産
冒頭でもお話しましたが、ここ数年で低体重児の出産が増加し続けおり、日本だけでなく海外でも多くの事例があります。
先日、日本にて「男の子として世界一小さい赤ちゃん」が無事退院したことは、ニュースでも多数取り上げられ話題となりました。
昨年8月に体重わずか268グラムで生まれた男の赤ちゃんが退院し、男の子としては世界で1番小さく生まれた赤ちゃんは、順調に成長したというニュースでした。
妊娠24週に緊急帝王切開で生まれた赤ちゃんは、5カ月にわたり集中治療室で育てられ、今では自力でミルクが飲めるようになり、出生時の12倍ほどの体重3200グラムにまで増えて無事退院ができたそうです。
全世界の低体重児の出産データによると、今回の男の子が世界で一番小さく生まれて、退院できた赤ちゃんということになるそうです。
これまで世界で1番小さかった男の子は、ドイツで2009年に274グラムで生まれた赤ちゃん。女の子では、同じくドイツで2015年に252グラムで誕生した赤ちゃんが世界最小だそうです。
アメリカで2006年10月24日に産まれた赤ちゃんは、誕生時には体重280グラム、9.5インチ(約24センチメートル)しかありませんでした。米国小児科学会(American Association of Pediatrics)では、一般的に23週以下で400グラム未満の新生児には生存能力がないとの見解を発表しており、この赤ちゃんは当時の最小記録でした。
こうした過去の見解を覆せるほど、医療技術は超未熟児を救うまでに目覚ましい発展を遂げています。
とはいえ、某有名大学病院によると、1000グラム未満で生まれる超低出生体重児の救命率は日本では約9割ですが、300グラム未満の場合は5割程度にまで低下すると言われています。
特に男の子の生存率は女の子よりも低くなっており、明確な理由は分かっていませんが、男の子の肺の成熟が遅いことが関係しているのではと言われています。
では、なぜこんなにも低体重児の出産が年々増加しているのでしょうか。
近年増加する低体重児の出産は何故起こる?
世界で最も低体重の赤ちゃんが多いのは日本と言われており、低出生体重児の割合が近年高止まりしているのが事実です。
低出生体重児とは、WHOの定義で「出生体重が2500グラム未満の赤ちゃん」と定められています。また、出生体重1000グラム以上1500グラム未満の赤ちゃんを「極低出生体重児」。1000グラム未満を「超低出生体重児」といいます。
赤ちゃんが低体重で生まれる原因としては下記の通りです。
■妊娠中のダイエットによる栄養不足
■妊婦中の喫煙
■妊娠中の飲酒
■高齢出産
■歯周病
■妊娠高血圧症候群
一番の原因として、出産後の肥満を嫌う妊婦の妊娠中ダイエットによる栄養不足が影響していると言われています。
妊娠中の体重増加を嫌がるママが多く、体重が増えないように食事制限し、ダイエットをする方もいます。そうするとママにとっても赤ちゃんにとっても栄養不足になってしまい、赤ちゃんの発育が遅れ、結果的に低体重で出産してしまう確率が高くなります。
また、最近で多く見られるのが妊娠中の喫煙・飲酒。
ママが喫煙や飲酒をすると母体の血管が収縮して赤ちゃんに十分な血液が送られなくなり、赤ちゃんは栄養不足になってしまい、発育が遅れてしまいます。ママがタバコを吸っていない場合でも、隣でパパが吸っているという場合は同じことが言えます。
また、アルコールは胎盤を通じて胎児へと移行します。大人はアルコールを肝臓で分解する機能がありますが、胎児は肝臓機能が発達していないために、アルコールの影響をじかに受けることになります。
では、低体重で生まれるとどんなことが起こりうるのでしょうか。
低出生体重児の成長と発達について
低出生体重児は、平均体重で産まれた赤ちゃんよりも小さいままで成長していきますが、だいたい1~3歳ごろには身長や体重などの成長が追いつき、5~6歳ごろまでには身体機能の発達も追いつくように成長していきます。
また、体重が軽い極低出生体重児や超低出生体重児の場合は、身体の発育や機能の発育が一般的な目安よりも遅れる傾向があります。
もちろん、この傾向は出生体重によって変わりますが、一般的には低体重児にかかわらず、早産の赤ちゃんは修正月齢の考え方で成長を見守ることになります。
また、低出生体重児は、体力や身体機能の遅れがある乳児期に呼吸器系疾患、循環器系疾患、中枢神経系疾患、血液疾患などの病気の可能性があり、学習障害や聴力障害などの発育障害を起こすリスクが高くなります。
さらに成人後には、心臓病や糖尿病などになるリスクも指摘されています。
これらの低体重児であると将来、病気になるリスクが高まるという考え方は「DOHaD説(生活習慣病胎児期発症起源説)」と呼ばれており、多くは欧州などで研究が進んでいますが、日本でも関連を指摘する研究結果が出始めているそうです。
このように、妊娠中の自分の不注意、知識不足による低体重の出産によって、赤ちゃんの将来の人生に苦労をかけてしまう可能性が高くなってしまうのです。
もちろん、赤ちゃんのことを第一に、健康的に妊娠生活を送っていたのにも関わらず、早産によって低体重で産まれてしまうこともありますが、それは仕方ないとしか言いようがありません。
ですが、ここで言いたいのは、我が子の健康のために最善を尽くすのが母の務めあるということです。
まとめ
世界で一番低体重出生率が多い日本。
この事実をしっかり妊娠したママさんたちが受け止め、自分はそうならないように、子供の為にどうしたら良いかを考えていかなければなりません。
自分の体重、スタイルのことを考えるだけでなく、赤ちゃん自身の出生時の体重をしっかり考えて将来の病気予防の取り組みも必要なのです。
これは、ママさんだけが頑張れることではなく、喫煙、飲酒をしているパパさんにも協力してもらい、助け合って出産を迎える準備をしていくことが大切です。
しっかり二人で話し合い、元気な我が子を迎えましょう。
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