妊娠
近年、妊娠期間中に受ける出生前診断が身近な選択肢のひとつになってきました。結果次第では、妊娠継続か中絶かを考える方もいるでしょう。その判断材料として、出生前診断の確率について知っておいて頂けたらと思います。
出生前診断で知っておいたほうがいいこと
出生前診断には、「非確定検査(新型出生前診断)」と「確定検査」の2種類があります。
まず、どちらにも共通するのは、その結果が「絶対」ではないということです。
新型出生前診断は精度の高い検査ですが、確定検査ではありません。陽性であった場合、羊水検査や絨毛検査といった確定検査を引き続き受ける必要がでてきます。
加えて、新型出生前診断で調べることのできる染色体疾患は、「ダウン症候群(21トリソミー)」「エドワーズ症候群(18トリソミー)」「パトー症候群(13トリソミー)」の3つです。検査項目が限られているため、心疾患などの重篤な病気を持って生まれることもあります。つまり、「異常なし」という検査結果であったとしても、何かしらの疾患をもって生まれる可能性は否定できないということです。
また、確定検査にも限界があります。例えば、赤ちゃんは正常にもかかわらず、胎盤だけが染色体異常を持っている「胎盤限局性モザイク」である可能性もすてきれません。1%の確率ですが、確かにそういったこともあります。ですので、検査結果がたとえ陽性であったとしても染色体疾患を持たない赤ちゃんが産まれる可能性があるのです。
ベイズ推定とは
検査結果は「絶対」ではないということについて話しましたが、そもそも検査結果の確率について、みなさん正しく理解されていますでしょうか?
検査が終わり、医師から「陽性反応が出ています。新型出生前診断の感度は、ダウン症候群に対して99%です。」と聞くと、あたかも全てが決まってしまったような印象を受けますよね。ただ、これは「生まれてくる赤ちゃんが99%の確率で、ダウン症候群です」という意味では全くないのです。
その事実を理論的に説明するには、「ベイズ推定」という数学の考え方が役にたちます。ベイズ推定から出生前診断の確率を考えると、99%を鵜呑みにするべきではないどころか、確率が全く異なってくることが分かります。リンク先の記事は、検査結果とその確率について書かれたものです。是非参考にしてみてください。
がん陽性でも"96%は問題なし"数学的理由
診断結果で悩んだときは
それでも診断結果で悩んだときは、信頼できる人に相談しましょう。パートナーや家族、産婦人科の医師や助産師に話を聞いてもらうのもいいでしょう。中には、出生前診断のカウンセリング窓口が設けられている施設もあります。
また、出生前診断について書かれた書籍やブログなどもあります。同じ悩みを抱えている人、経験者の声を聞いてみるのもいいかもしれません。
まとめ
出生前診断の結果をどう受けとめるかは、それぞれです。あなたが何かしらの答えを出すときには、お話しさせていただいた「確率」はもちろん、出生前診断に関する全ての事柄について正しい知識をもっていることが必要です。この記事が、その一助になることを願っています。
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