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意外と知らない?出産時の会陰切開について

「意外と知らない?出産時の会陰切開について」

会陰切開(えいんせっかい)。普段なかなか聞き慣れない言葉ですが、ご存知でしょうか。出産・分娩時の会陰裂傷を予防するために会陰部をあらかじめ切開し、赤ちゃんが出てくるのを手助けする分娩介助法の1つです。今回は、そんな会陰切開をご紹介します。

会陰切開ってなに?


会陰切開と聞くと、「会陰部を切るってどういうこと!?」「切った後はどうなるの?」「それって手術?」など様々な疑問がわきますし、少し怖い気もしますよね。ここでは正しい知識を知っていただき、少しでもお産への不安を和らげていただければと思います。

上記にもありますが、会陰切開とは出産・分娩時に会陰裂傷を防ぐために行われる分娩介助法の1つです。会陰切開をすることにより分娩時間を短縮し、母体・赤ちゃんの安全を確保するためでもあります。

会陰裂傷がひどいと、その後の生活に影響が出ることがあるため(排便障害や性交時痛などの後遺症)、会陰裂傷の予防として会陰切開は重要とされています。

ただし、分娩時、すべての人が切開するわけではありません。会陰の状況や分娩経過などに応じて必要性があると判断された場合にのみ行われることであり、会陰切開の有無は分娩時に行われることがほとんどです。

また、医師によっても会陰切開を行うかいなかに大きな差があり、初産の場合ほとんど行う医師もいますし、1%くらいの人にしか行わない医師もいます。全体としては初産の場合、7~8割の妊婦さんが会陰切開を行っているようです。

会陰切開が必要な状況って?


ではどんな状況であると会陰切開の必要性が出てくるのでしょうか。

・胎児の状態がよくなく、会陰部の抵抗によりなかなか胎児が出てこない場合

・巨大児分娩の場合
・肩甲難産の場合(胎児の肩が恥骨に引っかかり出てこない)
・鉗子分娩(かんしぶんべん)や吸引分娩の場合
・会陰部分の伸縮が不十分で複雑または大きな裂傷が予想される場合
・低出生体重児や頭蓋内疾患がある胎児の頭への負担を軽減したい場合

などがあります。

最も多いのが「⑤会陰部分の伸縮が不十分で複雑または大きな裂傷が予想される場合」であり、初産の方が多い傾向になります。

会陰切開の方法は?


通常は会陰部に局所麻酔をしてから切開を行います。しかし、分娩時は出産の痛みの方がはるかに強く、麻酔をしなくても痛みを感じなかった、という方も多くいます。
切開というとメスと使うイメージかもしれませんが、多くの場合ハサミで切開します。

会陰切開をした後は、分娩後に縫い合わせて傷を閉鎖します。溶ける糸で縫合することがほとんどで、この場合抜糸をする必要はありません。抜糸が必要な場合は、退院前日などに行うことが多くあります。

しかし、日常の排便などでいきむ際に、傷口が開くことなどはないので、安心してください。細菌などに感染しないように清潔にしておくことが大切です。

切開の方法は主に2種類あります。“正中切開”と“正中側切開”と呼ばれています。

“正中切開”とは、会陰中心部から肛門に向かって、まっすぐ縦に切開する方法で、出血が少なく、術後の回復も早いとされています。“正中側切開”とは、陰唇の下から肛門括約筋(こうもんかつやくきん)を避け、坐骨結節(ざこつけっせつ)に向けて、斜めに切開する方法です。鉗子分娩や吸引分娩など、比較的切開を大きくしなければならない場合、この方法が多くなります。正中切開に比べると出血量が多く、術後の痛みも強い傾向にあります。

会陰切開を行えるのは医師のみ


会陰切開は医療行為ですので、医師免許を持たない助産師さんは行うことができません。
(臨時応急の手当てについてはこの限りでないようです。)
そのため会陰切開は、お産の多くをサポートしてくれている助産師さんと変わり、医師によって行われます。
助産院には医師がいないため、基本的に会陰切開は行われません。

会陰切開をせずに産みたいと願う妊婦さんであれば、助産院を選ぶというのも一つの選択肢かもしれません。

また、バースプランを作成する際に、希望を聞いてくれる医療機関もありますので、一度相談してみても良いですね。

痛みはいつまで?回復状況は?


回復には個人差がありますが、退院する頃(1週間前後経過)には少し落ち着き、産後1カ月たつ頃には、ほぼ痛みが無くなっているようです。会陰裂傷してしまった方より、切開した方の方が術後の回復が早い傾向にあるようです。

また、産後初期には座るのもつらい方もいるようなので、円座クッションなどを利用して痛みを和らげましょう。

会陰切開は手術?保険の対象になる?


切開と聞くと手術となり、帝王切開などと同じく保険の対象になるように聞こえます。しかし、通常の自然分娩からの会陰切開は、保険対象とならない可能性が高いのです。通常の会陰切開は「手術ではなく安全なお産にするための処置」とするもので、健康保険の対象とはなりません。

しかし、次の会陰切開の場合、保険適用になる可能性があります。

・「鉗子分娩や吸引分娩のために医療機器を挿入するための会陰切開」の場合

・「会陰切開が何らかの理由により会陰裂傷となり、(1)肛門に及ぶもの(2)膣円蓋に及ぶもの(3)直腸裂傷を伴うもの」

入っている保険の契約内容にもよりますが、裂傷の具合によって対象となるかならないかが決まるので、病院から診断書を書いてもらうか(有料)、病院に手術コードを聞いて保険会社に確認してみるとよいでしょう。

最後に


説明だけ聞くと「こわい…」と思われがちな会陰切開。「会陰切開しなくても出産できるお母さんもいる」と聞くと、できれば切開しなくて済む方がありがたいですよね。痛みは人それぞれであり、実際にやってみてからでないとわからないのが不安をより強くしてしまうのかもしれません。

ただ、「お産中はそんなこと気にしていられない!」「切開されていることは気にならなかった」というような声もよく聞きます。
切開をすることによって母体の安全・赤ちゃんが無事に生まれてくることの方がより大切なことのように思えます。
まさに母は強し!妊娠中、会陰部をマッサージすることで会陰の伸びがよくなる、とも言われています。気になるようでしたら試してみるのもおすすめです。

 

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