妊娠
最近、都心部で20歳代の女性に急激に増加しています。当院では、20年以上受診者がなかったが、昨年1年間に、20歳2人(普通の仕事)、50歳1人(風俗ではあるが挿入なし)の患者様が来院されました。今回はその驚きが癒えぬ間に知識を整理しておきます。
【梅毒の種類】
①後天梅毒
性行為によって発症する、性病としての梅毒のことで、感染してから3日~1週間の潜伏期間を経て、梅毒の症状が現れます。血液検査で判定できるようになるには、感染後1か月かかります。
②先天梅毒
妊婦の感染によって、胎児期に影響を受けることで発症する、梅毒もあります。
梅毒の治療が不十分な状況で妊娠すると、胎児にも影響が生じます。
【梅毒の病原菌と治療】
梅毒の病原菌は、細長い形をしたトレポネーマという細菌です。ただし、ペニシリン系抗生物質がよく効きますので、早く診断を受けて、しっかり治療を(最低でも1か月服用)行えば治ります。さらに血液検査でフォローアップし、治っていることを確認することが大事です。
【後天梅毒の経過】
第1期(感染から3か月)
性器や口、肛門など、トレポネーマが侵入した部位にしこりができ、コリコリとした小さな赤い隆起が見られます。この硬結部位を中心に、徐々に口内炎のような潰瘍ができ、また、足の付け根の鼠径リンパ節が腫れますが、あまり痛みがありません。また、これらの症状は3~12週間で自然に消失するため、気付かずに通り過ぎることもあります。
第2期(感染後3か月から3年)
手のひらや足の裏、体中心に赤い発疹が現れます。バラに似ているためバラ疹といいます
第3期(感染後3年から10年)
治療をせず、梅毒がさらに進むと、皮膚や筋肉、骨などにゴムのような固さの腫瘍ができます。
第4期(感染後10年以降 )
体内の奥深くに病変が生じ、中枢神経や大動脈にも影響が及び、死亡にいたることもあります。
【予防するには】
菌を含む体液(血液や膣分泌液、精液)が、粘膜や“傷のある皮膚”に触れると感染します。よって、コンドームなしの性交が主ですが、口内に傷があればキスでも感染する可能性はあります。用心は必要ですが神経質になることはありません。実際、食器、唾や尿、母乳、輸血などによる感染例はないようです。
当院の患者様は、サワシリンを6~8週服用後、血液検査で治癒判定となりました。
【記事監修:岡本産婦人科医院 院長 岡本 吉明】
・大阪産婦人科医会
・日本婦人科病理学会
・日本臨床細胞学会、評議員
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