妊娠
最近は、ネットの情報が豊富なため、性感染症(STD)の検査を希望されて来られる方が増えてきております。中でもクラミジアは、知名度が高く、「おりものがおかしい」、「少量の不正出血がある」といった場合に、受診されることが多いです。ところが、このような症状は、STDではなく、細菌性膣症と呼ばれる疾患です。普段は、肛門周囲や外陰部にいる大腸菌や腸球菌などが、膣内に入って増えると、(味方の乳酸菌の勢力が衰えたとき)おりものが、黄色~緑色になり、腐った魚のような悪臭が出て服を着ていても、判るほどです。おりものの検査が必要で、抗菌剤の膣錠を挿入することで改善しますので、悩んでいないで、早めの受診を勧めます。
【クラミジア】
クラミジアは、パートナーが尿道炎を発症して治療を受けている際に女性も検査を勧められて来院されることが多いです。無症状のことが多いですが、子宮の入り口の粘液からPCR(コロナで有名になりました)で高頻度に検出します。
抗菌剤(アジスロマイシンなど)が有効であることが多く、あまり心配はいりませんが、放置されて進んでくると、子宮を経て卵管に病変を作るため、卵管の通りが悪くなり、不妊症や子宮外妊娠の原因になることがあります。
不妊クリニックではあらかじめ抗体検査をされるところもありますし、抗体検査で、過去のクラミジアの病歴が明らかとなって、ご夫婦が気まずくなることもあります。運悪く、さらに進行しますと、肝臓の周囲にまでクラミジアが広がって劇痛をきたすこともあります。
【淋菌感染症】
クラミジアと同様の感染性を示し(のどに多い)、合併することが多いSTDとしましては、淋菌感染症があり、女性では、やはり無症状のことが多いです。淋菌は、薬が効きにくいことがあり、現在、推奨されているのは、セフトリアキソンという抗生物質の点滴です。
クラミジア・淋菌感染症いずれにしましても、早く発見して、手当てを行うのが肝要です。
【記事監修:岡本産婦人科医院 院長 岡本 吉明】
・大阪産婦人科医会
・日本婦人科病理学会
・日本臨床細胞学会、評議員
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